みすゞ飴
「ねえちゃ」は、5人ほどの兄弟姉妹の末っ子です。「ほど」というのは、本人も本当のところ、何人だったかははっきりしないというのです。
すぐ上の姉とも11歳年が離れています。ですから、だいぶ前に亡くなった年長の兄たちよりも、むしろ、その子どもたちのほうが「ねえちゃ」の年齢に近いのです。
そんな兄弟たちの中で、この世に居るのは11歳年上の姉と「ねえちゃ」の2人だけになってしまいました。
そんな大切な姉のところを訪ねるとき、「ねえちゃ」が決まっておみやげに持っていくものがあります。「姉さまの好物の『みすゞ飴』」です。
「みすゞ飴」は、「真田丸」ですっかり有名になった長野県上田市にある飯島商店が生んだ、果物の果汁と寒天を水飴に加えたゼリー菓子。同商店のサイトによると「試行錯誤の上、明治の末に完成し」ていたのだそうです。
さすがに、伝統の一品。柔らかいけれど適度な弾力があり、アンズ、ぶどう、もも、りんごなど信州産の果汁の風味と独特の歯ごたえがシンクロして、なんともいえない味わいが醸し出されています。
いつごろ「好物」になったのか、いつごろから「おみやげ」にするようになったのかは定かでありません。でも「みすゞ飴」が、残された姉妹の絆に一役買っていることは確かなようです。
きのう「ねえちゃ」のおいが、家にあそびに来てくれることになりました。そこで「ねえちゃ」は、朝から「みすゞ飴」を求めて、近くのスーパーに出かけました。
1度目は肝心の「みすゞ飴」を買うのを忘れて帰ってきてしまいました。が、忘れたのを思い出してもう一度、スーパーへ。
「よかった。2個だけになってたけど残ってた」と嬉しそう。訪ねてくれたおいに無事、姉の好物のおみやげをたくしました。