Aokijima

80歳になった「ねえちゃ」と、その里の記録です

2人分

「ねえちゃ」は、連れ合いが亡くなって5年になるいまも、長年の習慣でついつい2人分のご飯を炊いてしまいます。

食事の前には必ず仏壇にご飯を供えますが、ときどき「おじいさんにあげても食べてくれないし、いつもご飯が余っちゃって」と、ぶつぶつ言っています。

若いころ、「ねえちゃ」が仕事や行事で少しでも食事を作るのが遅くなると、夫はしばしばかんしゃくを起こして怒鳴りつけました。

ですから、決まった時間にご飯を炊いて食事を作らなければというのが、「ねえちゃ」の頭の中を、時には“強迫観念”のようになって占領していたのかもしれません。

例の「アルコール依存症」日記の中に、こんな記述がありました。

「11月15日 みかん狩りに行ったが、心配でならない。帰りの時間が1時間遅くなったので帰ってからの事が心配だったが、帰ってみると割合に機嫌よくびっくりした。ビール2缶をさがし出し飲んで居た。がっかり。だんだん話す声が大きくなる」

このときは連れ合いも、禁酒中にビールを飲んでしまったのが後ろめたかったらしく、さすがに怒鳴りまくることはできなかったようです。

さて、「だんだん話す声が大きくな」っていった先には、何があったのでしょう。辛抱強い「ねえちゃ」もとうとう堪忍袋の緒が切れて、“爆発”してしまったのでしょうか?