Aokijima

80歳になった「ねえちゃ」と、その里の記録です

こうやまき風呂

「ねえちゃ」は、お風呂が大好きです。よほどのことがない限り、寝る前に毎日焚いて入っています。

連れ合いが仕事で信州の山を転々としていた関係で、以前は、木曾の高野槇(こうやまき)で作った木風呂が家にありました。

日本の木の中でも、特に品質のいい木として定評のある「木曾五木」と呼ばれる樹木があります。

木曾檜(きそひのき)、椹(さわら)、翌檜(あすなろ)、黒檜(ねずこ)、そして、高野槇です。

これら木曾五木の中でも高野槇は、水や湿気に耐える力が最高で、高級な風呂桶や水桶、流し場船、橋梁などに最も適しているとされているそうです。

「木の風呂というと“ひのき”が有名だけれど、それより上なのが高野槇天皇陛下昭和天皇)も高野槇の風呂に入っているんだ」と、本当かウソかは知りませんが、亡くなった「ねえちゃ」の夫はよく自慢していました。

木なので、肌にもなじみやすく、ひのきほど主張しない木の香りも心地いい。浸かるのは快適でしたが、湯船が深くて大きいので、風呂掃除や手入れを担当した「ねえちゃ」は、なかなか苦労も多かったようです。

さすがの高野槇風呂も、長年使っていると水分を含んで黒っぽく変色してきました。そこで、いまの家へ引っ越して来るときには廃棄してしまいました。

現在は、ポリエステル系強化プラスチック製のごく普通のお風呂です。ただ、「ねえちゃ」の身長からするとかなり大きいので、ときおり、眠くなってウトウトしているうちにと沈みそうになって「ハッ!」とすることがあるそうです。