地下足袋
治山の仕事をしていたねえちゃの連れ合いは、日本アルプスの山々にもしばしば足を踏み入れていました。
でも、登山家というけではなかったので、着ていくのはいつも作業服。
それに靴は履かず、大工さんなんかがよく使っている指が二股に分かれた地下足袋でした。
職場の人たちと槍ヶ岳や穂高岳を地下足袋で登っていく姿は、私が子供のときは、なんとなく格好わるいなと感じたものです。
ですが実際に履いてみると、少し底が厚い地下足袋だと、軽くて、沢も岩場も自在に歩けて、けっこう快適でした。
お盆休み中、北アルプス涸沢のテント場には、赤、青、黄など色とりどりのテントで埋まったようです。
そんな登山家たちの片隅で、地味な山男たちもきとっと、いろんなところで活躍していることでしょう。