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Aokijima

80歳になった「ねえちゃ」と、その里の記録です

「どこにあったか、わからない」

「無い、無い」といって騒いでいた、黄色い保険証、きのうになってどこからか出てきたようで、古いオレンジ色のといっしょにテーブルの上に置かれていました。

「大騒ぎして探しても見つからなかったのに、どこにあったの?」と聞くと「ねえちゃ」の返事は、「わからない」。首を傾げるばかりです。

そして、「市役所の支所に行って、黄色いのだと言って……、もらって来たのかな?」などと、いつもの「夢かうつつか妄想か」あたりの、わけのわからないことを言いはじめます。

「そんなはずないでしょ。支所は土曜日だから休み。去年の夏、もう郵送されて来ているのに、いま行ったからってすぐくれるはずないでしょ。しっかりしなよ」。

「どこにあったかぜんぜん覚えていない」ということことからすると、「特別にめずらしいところから出てきたのではない」という可能性が高そうです。

ということは、いつも身につけている財布か携帯電話のケースあたりにしまい忘れていたのが、寝て起きてみんな忘れてリセットしたら入っているのに気づいた、というあたりがいちばん真相に近そうです。

「しまい忘れた」というより、「無いと思い込んでいた」と言ったほうが正確かもしれません。

一昨日、家の中を一日中、探し回っていたのは何だったのでしょう。といっても、「ねえちゃ」は当然のごとく、探し回っていたことさえすっかり忘れているので、どうってことはないのかもしれません。

何はともあれ、見つかって一安心。混同して歯医者さんでまた注意されないようにするため、「ねえちゃ」は名残惜しそうに、期限が切れたオレンジ色の保険証のほうにハサミを入れて処分しました。