シンガポール陥落
リオデジャネイロオリンピック、卓球の女子団体は、福原愛、石川佳純、伊藤美誠3選手の粘り強い見事な戦いで銅メダルを獲得しました。
その相手は、シンガポール。そのニュースを聞いて、ねえちゃは思わず「へえ、あの『シンガポール陥落』のシンガポールに勝ったんだ」ともらしていました。
真珠湾攻撃から3カ月後の1942年2月、日本軍が10日足らずで英国が率いる軍を破り、難攻不落と謳われていたシンガポール要塞を攻略します。
イギリス陸軍は敗北し、シンガポールは陥落したのです。
この戦いで、約8万人の英国兵や英領インド兵、英領オーストラリア兵らが捕虜となったそうで、チャーチル英首相は自書で「英国軍の歴史上最悪の惨事であり、最大の降伏」と評したといいます。
当時の日本軍は、太平洋戦争開戦直後のこの戦果を、長野県の山奥の村に住むねえちゃのような子どもの記憶(そしてボケ気味の老人の脳)にも、くっきりと刻み込ませるくらい執拗に喧伝し、戦意高揚に利用していたのでしょう。
「ゴミ」の鍵開け
2、3カ月に1回くらいの割合で、町内のゴミ置き場を管理する仕事が回ってきます。
朝早くゴミ置き場の鍵を開けて、回収業者が処理を終えた午後に鍵を閉める役目です。
ねえちゃは、17日に可燃ごみ、19日に資源ごみ(ペットボトルと缶)、20日に可燃ごみの鍵の管理を担当することになっています。
朝忘れると困るのでと、きょう(16日)の夜、懐中電灯をもって早々に、明日の鍵開けを済ませてきました。
ですが、いつものようにまた「きょう何日だったっけ。ごみの鍵を開けなくちゃ」を繰り返しています。
「念のために明朝、ちゃんと開いているかどうか見てくればいいじゃない」。“大仕事”の日々がつづきます。
地下足袋
治山の仕事をしていたねえちゃの連れ合いは、日本アルプスの山々にもしばしば足を踏み入れていました。
でも、登山家というけではなかったので、着ていくのはいつも作業服。
それに靴は履かず、大工さんなんかがよく使っている指が二股に分かれた地下足袋でした。
職場の人たちと槍ヶ岳や穂高岳を地下足袋で登っていく姿は、私が子供のときは、なんとなく格好わるいなと感じたものです。
ですが実際に履いてみると、少し底が厚い地下足袋だと、軽くて、沢も岩場も自在に歩けて、けっこう快適でした。
お盆休み中、北アルプス涸沢のテント場には、赤、青、黄など色とりどりのテントで埋まったようです。
そんな登山家たちの片隅で、地味な山男たちもきとっと、いろんなところで活躍していることでしょう。
玉音放送
今年ももうすぐ、終戦の日を迎えます。
ねえちゃにとって、9歳のときに聴いたあの玉音放送には、やはり、特別の思い出があるそうです。
戦時中、実家のある下條村には、かなりの数の学生さんたちが、疎開で来ていたようです。
中には台湾からの留学生もいて、内々に蓄えていた農作物をこっそり食べさせたりして、家で面倒をみていたとか。
終戦の日の正午。実家の戸棚の上に置かれたラジオの周りに家族や学生さんたちがたくさん集まりました。
そして「堪え難きを堪え、忍び難きを忍び……」の「玉音」をみんな正座をして、涙を目にして聞いていたそうです。
子どものねえちゃには詳しいことは分からなかったそうですが、何かとんでもないことになったという衝撃は、いまも記憶にくっきりと残っているそうです。
御巣鷹山
5年前に亡くなったねえちゃの連れ合いの故郷は群馬県の吾妻だったので、以前は、碓氷峠を越えるなどして長野と群馬を行き来することがよくありました。
31年前、そんな碓氷峠に近い御巣鷹の尾根で起こった日航ジャンボ機墜落事故の衝撃は、いまも強く印象に残っています。
今夏は、遺族の慰霊登山に向けて登山道の整備などをしていた日航社員が滑落して死亡する、という惨事も起こってしまいました。
今年も墜落時刻の午後6時56分に合わせて、上野村の「慰霊の園」で追悼慰霊式が営まれ、遺族らは犠牲者の数と同じ520本のろうそくに火をともし、黙とうしたそうです。
あの事故の後、私もずいぶんたくさん飛行機に乗りましたが、いまだにあの時の衝撃から、飛行機に乗るのが怖くてしかたありません。
お盆を告げる「山の日」
砂浜を埋めた海水浴客たちに「きょうは何の日だか知っていますか」とテレビでインタヴューをしていました。
何の祝日なのか意識せずに、海へ遊びに来ている人が多いようで「山の日なんですか、山の日に海というのもへんといえばへんですよね」といった答えも返っていました。
世界でも例のない新たな祝日「山の日」を迎えたきょう、北アルプスの玄関口、上高地では、皇太子ご一家も散策を楽しまれたとか。
「山の日」がどれくらい知られているかはわかりませんが、「真田丸」効果なんかもあってか、この夏は、長野県を訪れる観光客はずいぶん多いだな、という感じはしています。
とはいえ、実際のところは「お盆休みを告げる祝日」。「山の日」は、帰省ラッシュの日という人たちが多くなっていくのではないでしょうか。