お寺さん
「ねえちゃ」の連れ合いが亡くなって、きのうでちょうど5年になりました。5年前、夫が亡くなったとき、いちばん困ったのが、お葬式をお願いするお寺さんのことでした。
2人とも実家を離れ、先祖との結びつきのない町で暮らしていました。特に夫のほうは晩年、その親族とほとんど交流がありませんでした。
しかも、近くにお世話になっているお寺もなければ、特に信仰している宗派があるわけでもありません。
市営の霊園にお墓はつくりましたが、そこにはまだ、だれも入ってはいませんでした。
亡くなって葬儀の日程を決めなければならない慌ただしさの中、連れ合いが生前、親鸞の本を読んでいて、関係する京都のお寺を旅したことがあったことから、お葬式屋さんを通して、浄土真宗のお坊さんをお願いすることになりました。
お葬式の後、実は、連れ合いの実家ではずっと浄土宗を信仰していて、この宗派のお寺の檀家だったことがわかりました。
一方、「ねえちゃ」の実家はというと、代々、臨済宗のお寺さんにお世話になっているのだそうです。
「浄土真宗でよかったのか。本来なら浄土宗のお寺にお願いすべきだったんじゃなかったのか。生きてるとき、おじいさんにちゃんと聞いておけばよかった」と、「ねえちゃ」は後悔しています。
他人事ではありません。「ねえちゃ」自身も、信じている宗派も無ければ、親しくしているお寺さんもありません。このままいけば、最近話題のAmazonの「お坊さん便」にでも、依頼するしかないかもしれません。
「自分はどういうふうに葬られたいのか。ちゃんと考えておいてくれなければ困る」と、口うるさく言うのですが、あの世へゆくことなどはるか先のこと、と思っているらしく、なかなかその気になってはくれません。